東北海洋生物学教育推進拠点(平成23-27年度)

はじめに

 日本海を北上する黒潮系暖流と北海道東岸を南下する親潮系寒流が出会う陸奥湾には、暖流・寒流双方の多様な生物が生息しています。この豊かな海洋生物環境の立地を生かし、大正13年(1924年)に浅虫海洋生物学教育研究センターの前身である浅虫臨海実験所が東北帝国大学理学部の付属施設として設置されました。平成19年に制定された海洋基本法にもあるように、島国の日本では海洋についての理解や保護・権益に対応出来る人材の育成が特に求められています。広く海洋やそこに棲む生物を教育に活用することは、このような人材育成には特に重要です。本センターは東北地区における海洋生物の研究教育拠点として、他の大学にも広く門戸を開くことで、また陸奥湾の多様な生物を題材とすることで、質の高い海洋生物の教育を多くの学生に提供したいと考えています。このため、本センターでは、学外からの利用がしやすいように工夫するとともに、理系だけでなく文系の学生に向けた教育カリキュラムの開発にも力をいれています。本センターで行われる海洋生物を用いた様々な実習や実践的な教育が、多くの学生の海洋生物への興味を育み、海洋や私たちをとりまく自然のさらなる理解や探求に繋がれば幸いです。

東北大学大学院生命科学研究科
浅虫海洋生物教育研究センター
占部城太郎

拠点事業について

 東北大学浅虫海洋生物学教育研究センターは、平成23年度から文部科学省が認定する「教育関係共同利用拠点」に「東北海洋生物学教育推進拠点」として認定されました。本拠点は、暖流・寒流及び北方内湾の豊かな生物材料を活用した、海洋生物学教育の拠点として活動することが期待されています。これに伴い、教員を中心にスタッフを更に充実させ、活発な教育研究活動を展開しています。
 本拠点プロジェクトは2本の柱からなっています。一つは、従来から行ってきた海洋生物学の専門家を養成するための教育を充実させるとともに、教育系学科の利用の多い本センターの特徴を生かし、基礎教養としての海洋生物学教育の普及に力を入れていくことです。もう一方は、外国人教員の招致、国際臨海実習の開催等を通して、国際的に教育研究に利用されるセンターを目指すことです。
 これらの活動情報を分かりやすく伝えるために、センターのホームページのリニューアルを行いました。特に、浅虫生物アーカイブを新たに開設し、センター周辺域の海産動物の特性やその取扱い方法についての解説を充実させています。また、センター利用者との意見交換が活発に行えるように、コンソーシアムを設置し、定期的に海洋生物学教育に関するフォーラムを実施することで、センター利用者からのフィードバックを本拠点プロジェクトに還元していきます。

第二回東北海洋生物学教育フォーラム 「大学教育と海」
2014年12月13日(土) 終了しました

スケジュール
12月13日(土)13時30分から17時45分

フォーラム(講演,ディスカッション)
第一部:大学教育と海 −東北大学−
第二部:大学教育と海−青森県内の大学−
第三部:大学教育と海−多様な可能性−
第四部:大学教育と海−新たな取り組み−
演者(敬称略,五十音順)
池田 実  (東北大)
大高 明史 (弘前大)
経塚 啓一郎(東北大)
佐藤 昌泰 (青森大)
高橋 大輔 (長野大)
芳賀 満  (東北大)


概要
第一部:大学教育と海 —東北大学—東北大学は全学部一年生対象の全学教育科目の一つとして、少人数制教育プ ログラム「基礎ゼミ」を開講しています。東北大学全学教育では「海」はどの ように活用されているのでしょうか。基礎ゼミで「海」に関する教育プログラ ムを実施しておられる経塚啓一郎先生(当センター)と池田実先生(東北大学) に、「海」を利用した教育プログラムの実例と、全学教育における「海」の利 用可能性についてお話しいただきます。
第二部:大学教育と海 —青森県内の大学—当センターは青森県内の大学の教育活動にも協力しています。短時間でセン ターにアクセスできる近隣の大学ならではのメリットを生かし、これまでにな かったタイプの教育活動も始まっています。センターを利用した「海」関連の 教育プログラムを実施しておられる佐藤昌泰先生(青森大)と大高明史先生(弘 前大)に、所属大学の全学教育・専門教育の概要と、センターを利用した教育 活動についてお話しいただきます。第三部:大学教育と海 -多様な可能性-当センターはこれまで主に生物学の専門教育の場として利用されてきました が、今後は生物学に限らず、多様な分野の教育活動への貢献を目指しています。 「海」とさまざまな分野の大学教育はどのような形で接点を持ちうるのでしょ うか。
第三部ではこの点に焦点を置き、高橋大輔先生(長野大)には非生物系 の学生に対する生態学教育の御経験について、芳賀満先生(東北大)には海洋 生物の文化的存在としての意義について、それぞれお話しいただきます。
第四部:大学教育と海 -新たな取り組み-第三部までのご講演を参考に、出席者全員で大学教育における「海」関連教育プログラムの可能性と問題点について議論します。
注1)参加希望の方は当センター事務係に12月10日(水曜日)までにご連絡ください。

第一回東北海洋生物学教育フォーラム
テーマ:教員養成系大学に対し、当センターはどのような貢献が可能か?2012年12月8日-9日 終了しました

スケジュール
12月8日(土曜日) 13時30分から17時30分

フォーラム(講演、ディスカッション)
第一部:教育学部関連臨海実習の現状(講演)
第二部:初等・中等教育は何を求めているか(講演)
第三部:ディスカッション

12月9日(日曜日) 9時から12時
施設見学、実習デモンストレーション・展示など

内容
浅虫海洋生物学教育研究センターは教育関係共同利用拠点として活動しています(拠点名:東北海洋生物学教育推進拠点)。当センターは拠点活動の柱の一つとして教員養成系大学の臨海実習教育を位置付けており、教育プログラム開発や実際の実習指導で教員養成系大学に協力をしています。

今回のフォーラムは、教員養成系大学の臨海実習や免許状更新講習等でのセンター利用のさらなる展開をめざし、臨海実習内容のリニューアルや、現役教員に対する実習(免許状更新講習等)、教員養成系大学合同臨海実習等のあたらしい取り組みにむけた意見交換、情報収集を目的とします。

フォーラムでは東北地方の大学教育学部や中学・高校の教員の方をお招きし、海洋生物学教育に関する話題提供をお願いしています。また、参加者全員での意見交換会を行います。遠方からの参加者のかたはセンター宿舎に宿泊も可能(注1)ですが、日帰りでの参加も歓迎します(注2)。

第一回東北海洋生物学教育フォーラム
プログラム
forum_program_web.pdf

注1)宿泊棟の収容可能人員は30名です。
宿泊希望の方は当センター事務係に11月30日(金曜日)までにご連絡ください。
希望多数の場合は調整を行いますのでご了承ください。
(注2)宿泊される場合、参加料は宿泊費・食費・雑費等で合計2600円程度です。
それ以外に懇親会費を徴収する予定です。宿泊されない場合、参加料は不要です。

実習プログラム開発

センター専任スタッフは拠点プロジェクトにおいて、新たな実習プログラムの開発に取り組んでいます。
これまでに開発された実習プログラムのタイトルと表紙のみ公開します。
プログラム全体を見たい方は、センターまでご連絡下さい。

2012年度
実習開発1:新口動物学入門その1:半索動物と棘皮動物の比較生物学(Minokawa.pdf
美濃川 拓哉(准教授)

実習開発2:アマモ場の魚類の多様性創出機構(Sogabe.pdf
曽我部 篤(助教)

2013年度
実習開発3:イトマキヒトデ卵成熟の進行に伴う卵内カルシウムイオン遊離機構の発達と受精時のカルシウム波の測定(Kyozuka.pdf
経塚 啓一郎(准教授)

実習開発4:クラゲの生活史と生殖(N.Takeda.pdf
竹田 典代(助教)

2014年度
実習開発5:海流と海洋生物の分布 -日本海と太平洋の岩礁性潮間帯群集の比較から-(S.Takeda20.pdf)
武田 哲(助教)

実習開発6:顕微操作で卵・初期胚の性質を調べる(Minokawa-2.pdf
美濃川 拓哉(准教授)