Takeda (2020)

Takeda S (2020) Burrowing-site selection by the soldier crab Mictyris guinotae Davie, Shih & Chan, 2010 (Decapoda: Brachyura: Mictyridae). Journal of Crustacean Biology, ruz097

概要

日本の琉球列島の砂質干潟において,ミナミコメツキガニは干潟の上部と干潮線近くの離れた2つの場所に巣穴を作る.彼らは,日中及び夜間の干潮時,この2つの場所を日常的に移動している.夜間の干潮時に汀線付近から上部の巣穴形成域に正確に戻る方法について調べた.彼らの捕食者であるオキナワハクセンシオマネキとミナミコメツキガニが棲息していない干潟で,底質選択実験を行ったところ,摂餌後に捨てられた砂団子で薄く被われた底質に好んで巣穴を形成した.摂餌のために巣穴を離れて移動する干潟のカニ類は,主に視覚に依存して巣穴を認識して戻ると考えられてきた.本研究は夜間活動する種は底質中に残された代謝産物などの化学物質を利用して巣穴の位置を探していることを示唆している.