光合成の生理生態学講座

はじめに

 

改訂にあたって 

 この「光合成の生理生態学講座」を書き始めたのは1998年6月です(当初は「サルにはちょっと難しいかもしれない光合成の生理生態学講座」でした)。きっかけは、初版の「はじめに」に書きましたが、学生さんたちに伝えたい知識が多いにもかかわらず、自分自身が持っている知識を整理しきれず、困っていたことでした。そこで、自分の周辺分野で重要だと思われる知識を選び、世の中で言われていることに私なりの解釈を加えたものを示してきました。

 当初は系統だった書き方をすることができました。連載開始前の3ヶ月にA4で30ページほど書き貯め、連載開始(8月)と同時に書き貯めたものを徐々にアップしていき、同時に将来アップするものを書き足していく、というやり方をしていました。しかし半年か一年でストックが底を尽き、あとはその場その場で書きたいものを思いついたら足していく、ということでどうにか「連載」を維持していました。

 問題なのは、情報が膨大になり、当初の目的であった「知識の整理」から離れつつあることでした。Webの優れた点は、改訂を気楽に行うことができることです。実際このページはあちこちで小幅改訂を繰り返してきました。しかしその結果、全体としてはどんどん乱雑になっていきました。これは数年前から自分の中では重要な懸案事項でした。

 2005年9月に何代目かのサーバが損傷し、ハードディスクのデータが消えました。サーバのトラブルは珍しくありませんが、データが消えてしまったのは、7年目で初めてのことです。現状復帰は可能でしたが、これを機会に大幅な改訂を加えることにしたいと思います。心機一転とまではいかないかもしれませんが、今後ここにアップされるものは第二版として扱います。なお、初版の復活はめんどうなのでしません。

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 ありがたいことに、「本にしてくれ」という意見をいただくことがあります(二年に一度くらい)。しかし、当面その予定はありません。理由の一つめは、本にするにはかなりの労力と精神的負担を伴うということです。紙に書いたものは容易には修正できないので、「間違ってはいけない」というプレッシャーがかかります(逆に言うと、このページでは正確さをあまり気にしていません)。二つめは、本にするには私の知識はかなり偏っていることです。例えば私は水ストレスの影響についてあまり詳しくはありません。本にするにはある程度のバランスが必要ですが、そのために勉強するのはめんどうです。三つめは、本にしてしまうとそこが一区切りになってしまうことです。新たな知識は日々増えていて、どこで区切っても後悔することになるでしょう。最後の一つは、このページの摘要版をすでに本に載せたことです。朝倉書店から2004年に出版された「植物生態学」第二章はこのページの一番大事な部分を抜き取ってまとめたものです。「紙面で読みたい」という方はぜひこの本を読んで下さい。

200509 15


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