機能生態分野では、植物の環境応答や適応について、光合成を中心に、分子レベルから生態系レベルまで様々なスケールで研究を行っています。現在の主要なテーマは、機能形質からの植物の戦略や分布決定要因の解明、植物の光合成・物質生産の観測とモデル化、環境適応のメカニズムの解明などです。

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  • 博士課程後期3年の張博の論文が発表されました。東日本におけるミチタネツケバナの遺伝的分化と温度環境の関連を調べたものです。当研究室では適応形質の種内変異に興味をもち、様々な種の種内変異を研究してきました。これまで用いてきた研究材料は、長期間の適応を経て形質が適応的に進化してきたという前提で選んできました。一方、本研究で扱ったミチタネツケバナは1970年あたりに日本に入り、急速に分布を広げた侵入種であることが工藤洋さん(京大)により明らかにされています。侵入種はその環境を短期間しか経験しないはずで、どのように適応しているのか、これまでの材料とは違う興味があります。酒井研に所属していた松橋彩衣子さんがミチタネツケバナの集団変異を研究しており、共同研究をもちかけましたが、種子ストックが少ないとのことで断られ、自力で材料を収集しました。当時ポスドクだった尾崎洋史さんがDNAを抽出し、博士前期課程に瀋毅恒さんがいったん解析を行いましたが、いろいろ問題があり、張博さんが再解析と新たな解析を加えてようやく1本の論文になりました。結果は、東日本のミチタネツケバナには遺伝的な分化があり、高温に適応していると考えられる集団と低温に適応していると考えられる集団がありました。これは予想通りだったのですが、一つの集団は幅広い温度環境に分布しており、幅広い環境に適応できる集団の存在によって分布拡大が可能になっていることも示唆されました。(2026.9.29)
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