東北大学 大学院 生命科学研究科 生命機能科学専攻 植物細胞壁機能分野理学部 生物学科 植物生理学 西谷研究室 ENGLISH
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植物生理学と細胞壁
>>植物生理学とは何か  >>細胞壁とは何か
植物生理学とは何か
生理学(Physiology < physis + logos) とは自然の理(ことわり)を解き明かす科学のことです。Plant Physiology (植物生理学) は、したがって、文字通り植物きているを解き明かすということになります。平たく言えば、植物の働きとその仕組みを分析する科学のことです。動物の分野では個体以下のミクロの研究領域は生化学や細胞生物学、発生生物学、神経生化学などに細分化されていますが、植物の分野では広義の「生理学」の意味をそのまま踏襲して、これらの学問領域すべてを纏めて植物生理学と呼んでいます。
日本植物学会:http://bsj.or.jp/
日本植物生理学会:hhttp://jspp.org/
  • 植物生理学の研究領域
    現在の植物生理学は19世紀にドイツのSachs やPfefferらによってPflanzenphysiologieとして体系化されました。20世紀には農学を含めた植物科学全般の基礎科学として欧米や日本で大きく展開しました。栄養、代謝、物質輸送、植物ホルモン制御、膜・細胞壁・オルガネラなどの機能、発生過程、病害や環境応答性などについて、遺伝子やタンパク質、その他様々な生体分子のレベルで、植物の仕組みを解明するのが、現代の植物生理学の主要なテーマです。
  • ポストゲノム時代の植物生理学
    今世紀に入って、シロイヌナズナやイネ、ポプラ,ヒメツリガネゴケなどのゲノム情報が活用できるようになり、生物情報科学や大量解析技術、比較ゲノムなどの手法を駆使して,形質転換植物や組換えタンパク質を用いた逆遺伝学のアプローチが植物生理学の重要な研究方法論となっています。
  • 植物生理学の最近の成果
    最近20年の間に植物生理学の領域で、科学の歴史に残る重要な発見がいくつも成されました。分裂組織や花器官の決定、花成制御に関わる制御遺伝子群などが次々と解明されました。また、植物ホルモンや光の受容体に関わるタンパク質も同定されました。一方、膜輸送や細胞壁構築など、実際の成長過程や体造りに必須の実動タンパク質群も次々と単離され、それらをコードする遺伝子群が同定されました。更に、ゲノム情報を用いた包括的な解析が進み、これらの遺伝子群が、いずれも大きな遺伝子ファミリーにコードされ、組織や発生段階に応じて,役割分担を行っていることも明らかになってきました。
  • 21世紀の植物生理学の課題
    制御遺伝子群と実動タンパク質群との関係は,単純な単線型ではなく,網目(ネットワーク)状の複雑な関係にあるため,両者を繋ぐ分子経路の解明は容易ではありません。たとえば、分裂組織から葉や花の原基が分化し,器官を形成する過程では,多数の実働タンパク質が協調的に働いて、細胞壁を作り、組織に固有の細胞の形ができるはずです。この過程の制御に関わる多数の制御遺伝子と、それらの制御を受ける多数の実働タンパク質群との関係(ネットワークの様式)は殆どわかっていません。制御遺伝子群実動遺伝子群の間を繋ぐネットワークの解明こそが,21世紀の植物生理学に残された、最も重要なテーマの一つです。

  • なぜ細胞壁を研究するのか?
    私たちが細胞壁に焦点を当てて研究するのは、それが、植物の成長や形態形成の基盤となる最も重要な細胞構造であるだけでなく、その構築や機能発現には、夥しい数の制御遺伝子群と実動タンパク質群が関与していることが推測されるからです。

  • 細胞壁関連遺伝子群
    シロイヌナズナやイネのゲノム情報を基にした研究より、細胞壁の構築や機能発現に直接関わる遺伝子は数千に及ぶことを私たちは明らかにしてきました。これらの遺伝子群を細胞壁関連遺伝子群とよんでいます。細胞壁関連遺伝子群は最も代表的な実働遺伝子群です。これらの遺伝子群は、多数の遺伝子ファミリーに分類できます。 エンド型キシログルカン転移酵素/加水分解酵素(XTH)は細胞壁の高次構造の構築・再編過程において中心的な役割を担う酵素群で,細胞壁関連遺伝子群の中でも,代表的なファミリーです。

    XTHについての詳細はこちら>>
  • 植物生理学の標準教科書
    Plant Physiology 3rd ed (2002) Eds. L. Taize and E. Zeiger, Sinauer Associate, Inc.
    Plant Physiology 4th ed (2006) Eds. L. Taize and E. Zeiger, Sinauer Associate, Inc.
    http://www.plantphys.net/
    邦訳 テイツ・ザイガー 植物生理学 第3版 培風館(2004)

    Biochemistry and Molecular Biology of Plants (2000) Eds. B.B. Buchanan et al. American Society of Plant Physiologists
    http://www.aspb.org/publications/biotext/
    邦訳 植物の生化学・分子生物学 学会出版センター(2005)