生物多様性の森
植物園の食物連鎖 一部、推測を含みます。各ボックス内では便宜上、種名・一般名・総称を使い分けています。

森林生態系と食物連鎖

 多くの樹種をはぐくみ、高木層から草本層まで立体的な階層構造をもつ森には、多くの動植物が住み込めます。「衣食住」*が確保できれば、住人たちの顔ぶれはにぎやかになります。植物が太陽エネルギーを緑の葉でとらえ、その葉をチョウやガの幼虫が食べます。これをムクドリなどの小鳥たちが食ベ、小鳥をハヤブサやオオタカなどの猛禽類がとらえます。あるいは木の実を食べるリスアカネズミなどの小動物を、キツネイタチなどの肉食動物がとらえます。このような植物からはじまる生食食物連鎖と並んで、動物の死がい・落ち葉などを分解する微生物や昆虫類から始まる腐食食物連鎖も重要です。食う食われる関係で結び付いた生物どうしのつながりは網の目のように入り組んでおり、食物網と呼ばれています。このネットワークを通してエネルギーや物質が循環し、非生物的要素も含めたまとまりのあるシステムを構成する場合、これを「生態系」とよびます。
 植物園は全体でひとつの森林生態系を構成しています。さまざまの環境・植生を含み、種の多様性が高くなっています。オオタカキツネなど食物連鎖で頂点にいる種も生息しています。生物には種内の遺伝的多様性の点から、隣りあう生態系とのつながりが必要です。したがって生息地の分断・孤立化は、種の存続にとって致命的な結果をもたらします。

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: 例えば、キジにとっての枯れ草(巣の材料)、ムササビにとっての大木の洞(営巣場所)。つまり自分を保温したり、敵から身を守るもの。
: 例えば、キジにとっての草の実、ムササビにとってのドングリ。
: 例えば、キジにとって枯葉・草の実が得やすい草原や森、ムササビにとって洞・ドングリが得やすい大木のある森。つまり衣食を得やすく、仲間に出会える場所。


生物多様性の危機

 現在、世界では年平均l00種前後の生物が絶滅していると推定されています。日本でも近年多くの種が姿を消しました。人間活動に由来することがらが主な原因です。野生動植物は生態系のだいじな要素であり、人類の豊かな生活に欠くことのできないものであるという認識から、l992年に「生物多様性に関する条約」*が結ばれました。l993年には日本で「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)」が施行されました。

※国連の地球サミット(環境と開発に関する国連会議)でまとめられた条約。日本も調印しています。

レッドリストについては環境庁ホームページ内の「レッドリストについて」をご覧下さい。


   
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